浮気による慰謝料請求や離婚裁判では、不貞行為の証拠が必要になります。
不貞行為とは何か…
「婚姻している者の貞操義務に反する行為」
簡単に言うと、結婚している相手が他の異性(同性も含む)との性行為を指します。
行為自体を証拠として撮影するのは無理でなので、不貞行為をしていたであろうという状況証拠を多く揃えなければなりません。
では、状況証拠とは…
旦那(妻)が異性と手を繋いで歩いていた…
旦那(妻)が異性と二人で食事をしていた…
旦那(妻)が異性の住居を訪問した…
上記の状況証拠では不貞行為があったとは言えません…
しかし、上記の状況が何度も積み重なった時に有効な証拠となってきます。
何度も同じ異性と食事をして居宅を訪問している…ともなれば言い訳が出来なくなります。
旦那(妻)が異性と食事の後にラブホテルに行った…
これは不貞行為の証拠となりますが、1度きりだと弱い…という弁護士も居ます。
言い訳として、「相手が酔ってしまって休憩した」、「行ったが何もしていない」、「相談を受けたが、場所が無く」など絶対に不貞を認めない人もいるからです。
旦那(妻)や不倫相手に言い訳が出来ない、認めざるを得ない、状況証拠を揃えることが大事です。
20年前…大阪の調査会社にて
依頼人は50代後半の女性、旦那の浮気を調査してほしいとの事であった。
旦那は自営業をしていたが引退して無職であるにもかかわらず、昼間に車輌で出掛けては夕方まで帰ってこない日が週に2度ほどある。
調査当日、対象者(旦那)が自宅を出て対象車輌(ワンボックス)へと乗車する。
文次郎と丈は対象車輌を追跡開始する。
車輛はとあるコンビニの駐車場にて停車、コンビニ内から50代女性が近づくと助手席に乗車する。
国道から一般道を走行、田畑が広がる風景を走行していくと農道へと入る。
対象車輌は農道脇に2台ほど車輌が停車できる場所に停車する。
文次郎と丈は調査車輌を前方へ移動して少し遠くから対象車輌内を確認する。
少しすると、50代女性は助手席から降車して後ろの座席へと移動する。
対象者も車内から後部座席に移動すると前方から車内が見えないようになる。
運転席と後部座席の間にカーテンで仕切れるようになっており、対象者がカーテンを閉めたからであった。
丈は歩いて対象車輌に近づくが同車輌の横や後方のガラスには黒いスモークフィルムが貼られている為、車内が確認出来ない。
ここで赤外線カメラに特殊レンズを装着させた秘密兵器を登場させ、車内の撮影を試みる。しかし、車内の横と後方にはカーテンも設置されて全く観えない、完全な丈と文次郎の敗北であった。
数十分間、文次郎と丈は対象者と50代女性が事が終わるのを待った。
対象者が運転席と後部座席が仕切られているカーテンを開き、後部座席から運転席に移動。
50代女性もスライドドアから外に出ると助手席ドアを開けて座席へと座る、その一連の動作を文次郎は撮影していた。
車輌は来た道を戻って移動していき、50代女性が乗車したコンビニに到着する。
50代女性は降車、対象者は車輌にて立ち去る。
50代女性はコンビニ付近に駐輪してあった自転車に乗車する。
文次郎と丈は自転車を用意していなかったため、ゆっくりと調査車輌にて自転車を尾行する。
自転車は住宅街を走行して細い路地へと入る。
文次郎は車輌から降車して走って路地へと向かうと、50代女性は一軒家の敷地内に自転車を駐輪している。
その後、50代女性は一軒家の玄関ドアの鍵を開錠して入室するのを確認、表札からも苗字を確認した。
調査はその後も定期的に怪しいと思われる日の3日間行ったが、結果は同じであった。
車輛が停車して二人の情事が始まる場所は違い、大きな公園の駐車場であったり、量販店の駐車場などであった。
文次郎は感心した、50を過ぎた両氏が何処かに行って楽しく食事などということはせず、ただ欲望を満たすだけの関係が成立していることに…
この数日の調査を報告書にまとめ上げ、依頼者に報告する。
男女が車輌内でしか接触していない状況であるが、状況証拠としては満たしていた。
4日間、女性が同乗、人気の無い場所にて車輛を停め、外部から車内が見えないようにした状況で何をしていたのか?
旦那である対象者が言い逃れの出来ない状況に陥れた報告書であった。
数か月後、営業担当に聞くと、無事、弁護士を通じて対象者と離婚が成立したようである。
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