数日後、内田が例の台東区にある取引先「Ⅹ社」を訪問して打合せ後に直帰するという情報がA社取締役武田氏から入る。
調査当日、取引先会社「Ⅹ社」に15時には内田が来社するという事で14:30には文次郎とハジメは下見を終えて付近にて尾行・監視体制を取っていた。
予定より10分ほど前、内田が最寄りの駅から歩いて来ると取引先「Ⅹ社」が所在するビルへと入り、エレベーターで上階へと上がる。
古い写真の顔と間違いないが、随分と贅肉を身に着けており、小さな力士がスーツを着ているみたいだった。
退社していくサラリーマンが多くなる時間帯、内田と担当者と思われる長身の50代男性が出てくると、大通り向かって歩いて行く。
内田と長身50代男性は付近の居酒屋へと入店する。
文次郎は車輌をコインパーキングに駐車してハジメと合流、同店内へと入店する。
先に入店した内田と50代男性は既に店内奥の角の席にてビールを飲んでいる。
文次郎とハジメは両氏が観える席に座り、ウーロン茶と一品料理を数品オーダーした。
文次郎は同店員に分からぬよう隠しカメラで両氏を撮影していた。
内田と50代男性は楽しそうに会話をしながらチューハイなどを飲んでいるが、金品などの受渡しは無かった。
2時間近く経ち、文次郎は先に会計を行い、車輌をコインパーキングから出庫、ハジメは撮影を継続していた。
10分後、ハジメが同店を退店すると直ぐに内田と50代男性が退店する。
同店の支払は50代男性が行った模様。
両氏は大通り方面へと歩いて行き、ハジメは尾行を開始、文次郎は距離を空けてゆっくりと車輌を移動して大通りへと向かう。
内田と50代男性は交差点に差し掛かると大通りを横断、交差点付近で車道に出てタクシーを探している。
文次郎は両氏が大通りを横断してタクシーを捕まえる前に車輌を移動させて大通りを右折、10m程の場所で停車させて様子を観る。
内田と長身の50代男性がタクシーに乗車、南西方面へと走行する。
ハジメは文次郎が運転する追跡車輛後部座席に乗車、タクシーを追跡開始する。
タクシーは「国道4号線」を南方面へと走行、その後、皇居方面から「六本木通り」を南西方面へと走行する。
タクシーが「六本木交差点」にて左折すると、十数メートル先にて停車する。
内田と長身の50代男性はタクシーから降車、六本木3丁目付近の路地へと入る。
両氏は某ビル地下1階に在るキャバクラ「K」へと入店する。
文次郎とハジメは時間をおいて同店に入店する。
黒服に案内された席は両氏テーブル席からはかなり遠かったため、3テーブル席空けたテーブル席へと移動させた。
内田と長身の50代男性は女性との会話を楽しんでいる。
やはり、会話から内田は常連客のようであった。
同席ではドンペリニヨン・ロゼやフルーツ盛などが運び出される。
こちらの席では、文次郎がトマトジュース、ハジメはハウスボトルのウイスキーを水割りで薄くしたものをちびりちびりと飲んでいた。
今回は隠しカメラでは従業員に察知されるため、スマホのカメラにて撮影を行う。
女性従業員と撮影をする仕草を見せての撮影だ。
文次郎とハジメが入店して2時間半経過、長身50代男性が財布から30万円以上の現金を支払う。
文次郎も支払いを済ませると、文次郎とハジメは直ぐに退店をする。
文次郎は車輌をコインパーキングから出して「六本木通り」付近にて待機、ハジメは同店出入口付近にて張り込む。
内田と50代男性が女性従業員3名を連れて1階同店出入口まで来ると、女性従業員3名は挨拶を交わして内田と50代男性を見送る。
内田と50代男性は「外苑東通り」に出ると、「六本木通り」へと歩く。
「六本木通り」にて50代男性がタクシーを捕まえると内田だけが乗車、50代男性は挨拶をすると同タクシーが発進するまで見送る。
文次郎はハジメを後部座席に乗せ、同タクシーを追跡する。
内田が乗車したタクシーは自宅方面へと走行する。
同タクシーは内田自宅付近にて停車、内田は自宅へと帰宅する。
文次郎とハジメは内田が帰宅後、撮影を済ませると調査を解除する。
次の日、同日は内田が50代男性から接待を受けていたが、金品のやり取りは無かった事を牧村弁護士に連絡をした。
横領事件 ~中編~ 終
この物語は一部の事実を元にしたフィクションであり登場する人物、団体名等、名称は実在するものとは関係ありません。
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